人工軽石を活用 インフラ課題改善


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 廃ガラスを原料に人工軽石を製造、販売するトリム(那覇市、坪井巌社長)は海外進出を本格的に加速させる。20日までに南太平洋の島国バヌアツで人工軽石を使った雨水貯留システムを設置し、ベトナムでは排水処理システムを整備した。水不足対策や汚水浄化などの課題を抱える東南アジアや島嶼(とうしょ)国を中心に需要を掘り起こし、将来的に製造プラントの販売につなげる。

 バヌアツに設置した雨水貯留システムは土地を掘削して遮水シートを敷き、家庭などから出る瓶などの廃ガラスを再利用して製造した独自製品「スーパーソル」を地面の高さまで投入、整地し、たまった水をポンプでくみ上げる仕組み。3月に診療所の公共用に約90立方メートルの貯水槽を整備した。
 「スーパーソル」は通気性が高く貯水槽の貯水率は30~40%程度という。水の腐敗を抑制する資材として注目されており、貯水を循環し腐敗を防ぐための機械は不要なため水道や電気などのインフラに課題を抱える島国を中心に導入を促す。
 ベトナムでは畜産業者向けに汚水処理が日量100トンの排水浄化システムを整備。スーパーソルなどのろ過作用などを利用し、畜産排水を河川に流せる水準まで浄化できるという。排水浄化システムは初期投資額や管理経費が抑制できることを強みに、発展著しい東南アジアなどでの展開を目指す。現在タイで調査を進めており年度内にも整備を図る計画だ。
 玉那覇毅事業本部長は「欧州などからも問い合わせがあり、ニーズはあると感じている。資材輸送はコストがかかるので、プラント販売が最終目標。スーパーソルの導入事例を増やし、それを実現したい」と話した。(謝花史哲)