「アララガマ魂」刻む 石垣市吉原 入植60年で「開拓碑」


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「アララガマ魂」の文字が刻まれた開拓之碑を除幕する関係者=16日、石垣市の吉原公民館

 【石垣】石垣市の吉原公民館(砂川三吉館長)は16日、吉原入植60周年記念式典と祝賀会を同公民館で開催した。宮古島から入植した48人の開拓団に敬意を表し、60周年を祝う「開拓之碑」も公民館前に建立。幾多の困難を乗り越えたことをたたえ、碑には宮古の言葉でなにくそ精神を意味する「アララガマ魂」の文字が刻まれた。

 吉原集落は1953年6月12日、琉球政府の計画移民で開拓団が入植した時から歴史が始まった。開拓団は何もない野山を耕し、農業の基礎を構築。現在は農業のほか、観光業なども発展している。
 開拓団は48人中、11人が健在で、7人は今も吉原集落に住んでいる。
 祝賀会は公民館の婦人会や子どもたちが八重山民謡の「鷲の鳥節」や、宮古民謡などを披露。八重山と宮古の文化が入り交じった吉原集落ならではのうたげとなった。
 入植1世の来間正雄さん(78)は「入植から60年、いくつの困難を乗り越えたか分からない。感無量だ」とあいさつ。「歴史は2世にバトンタッチしている。これからも地域を大事にしていってほしい」と話した。
 旧城辺町出身の根間清市さん(88)は「ハブがいる野山に入り、雑草を抜き、くわで開墾した。何もないところから始めたが、イモは評判で遠くの人にも送った」と回顧。「今では食べるものにも困らない。本当にありがたいことだ」と語った。