騒音被害が激化 キャンプ・シュワブ周辺


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 【名護】名護市の米軍キャンプ・シュワブ周辺地域で米軍機などによる騒音被害が激化している。名護市が測定した、4、5月に環境基準値を超える63デシベル以上の騒音が発生した回数は、周辺5地域で計812回に上り、前年同期比で168回増えている。

豊原では4月に廃弾処理とみられる105・1デシベル(電車が通る時の高架下に相当)の爆発音を測定した。市の「基地苦情110番」には、4~6月に辺野古からあった苦情は24件に上り、前年度1年間の21件をすでに上回っている。
 統計をまとめた名護市広報渉外課の仲里幸一郎課長は「新年度に入り、米軍の訓練が増えている。オスプレイ配備以降、住民は騒音に敏感になっており、苦情も増えている」と説明した。
 名護市は2010年10月に航空機騒音測定を開始。測定器は騒音被害の多い辺野古、豊原、久志、許田、幸喜の各公民館などに設置しており、環境基準値(62デシベル)を上回る63デシベル以上を計測している。辺野古、豊原、久志では廃弾処理の爆発音も測定している。
 ことし4、5月の測定結果は、久志で247回(前年同期比74回増)、豊原179回(同49回増)、許田102回(同40回増)、辺野古132回(同19回増)、幸喜152回(同14回減)となり、5地域中4地域で増加した。
 12年度は久志で990回(11年度比568回増)、辺野古で630回(同269回増)と大幅に増加した。ただ、11年度は測定器の故障などで計測できない時期があった。
 07年から始めている「基地苦情110番」では、昨年度は45件と過去最多だったが、本年度は6月までに34件あり、うち辺野古からの苦情が24件と最も多い。内容は、航空機騒音(16件)と、廃弾処理などの爆発音(14件)が大半を占めている。苦情時は100デシベル前後を計測している。
 久志に住む森山憲一さん(71)は「騒音が増えて困っている。騒音があること自体が問題だ。なくしてほしい」と問題視した。
 琉球大学の渡嘉敷健准教授(環境工学・騒音)は「学校周辺での音環境の悪化が懸念される。子どもたちへの影響を考えれば飛ぶこと自体が許されない。数値に反映されない影響があるかもしれない」と指摘した。(仲村良太)