二審も「妨害」認定 高江通行妨害訴訟


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 米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設現場付近で反対運動をしている住民の伊佐真次さん(51)に対し、沖縄防衛局が通行妨害禁止を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長)は25日、伊佐さんの抗議活動を「違法な所有権侵害に当たる」と判断し、妨害禁止を命じた一審の那覇地裁判決を支持して伊佐さんの控訴を棄却した。

反対運動は表現の自由に基づく行為だとする伊佐さんの主張に対し、一審に続き「限度を超えている」として工事を妨害しないよう命じる判決で、伊佐さんの全面敗訴の内容だった。
 伊佐さんは「住民が静かに暮らしたいと活動したことを通行妨害と言われたら何もできなくなる。国の訴えや今回の判決は平和活動への挑戦だ」と批判した。上告については弁護団と話し合って決めるとした。
 判決は、一審に続き、伊佐さんが2007年に5回にわたって妨害行為をしたと認定した。各行為について目的自体は正当なものとしながら「現実に通路としての使用を著しく制限または困難にする行為で、行為による不利益は国が受忍すべき限度を超えている」として、違法な所有権侵害に当たると認定した。
 伊佐さん側は、訴訟は建設工事の監視、工事をやめさせる説得活動を萎縮させるための「スラップ訴訟」で、訴権の乱用に当たると主張していた。しかし判決は「活動の萎縮を目的として提起されたと認めることはできない」とし、不適法ではないとした。
 また、伊佐さん側が、工事に使われている県道での活動への提訴について道路管理者の県の同意を得ておらず、土地の所有権を行使できないと指摘したことには「国は仮処分申し立てに先立ち県に連絡して意見を聴いている。県は異議を述べなかったので、黙示の同意があったというべきだ」として、県が提訴に同意していると判断した。
 今泉裁判長は、前任の綿引穣裁判長が、業者や従業員の通行も国の通路使用に含まれるかどうかなど国に疑問を呈して釈明を求めた全ての点について、国の主張を全面的に認めた。

<高江通行妨害訴訟 控訴審判決骨子>
 一、控訴人(伊佐真次さん)の行為は、被控訴人(国)が受忍すべき限度を超え、違法な所有権侵害
 一、国の訴えはヘリパッド建設反対活動の萎縮目的と認められない
 一、被控訴人の請求は権利の乱用に当たらない

福岡高裁那覇支部の判決を「不当判決」と訴える住民側の弁護士ら=25日、那覇市の福岡高裁那覇支部前
今泉秀和裁判長 (代表撮影)