壕で地域活性化 八重瀬町と具志頭区 管理協定


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 【八重瀬】八重瀬町具志頭にある旧日本軍の陣地壕「クラシンウジョウガマ」の管理をめぐり、町と具志頭区などはこのほど、入壕管理を目的とした協定書を締結した。

同壕には、年間約4万人以上が平和学習で利用するが、事故が起きた際の責任体制のあいまいさや、訪れた人々が集落を素通りして地域振興に寄与していない―などといった点を問題視する声が地権者や地元住民から上がっていた。今秋までに、入壕前の連絡の徹底や入壕料の徴収などを実施し、持続的な平和学習の推進を目指す。
 全長約150メートルのクラシンウジョウガマは、壕内に銃眼や炊事場などが残る貴重な戦争遺跡。このため毎年多数の修学旅行生が訪れ、地域住民から「地域内に排ガスとごみをまき散らし、トイレの水を使っているだけ」と問題視する声が上がっている。
 19日、同町役場で記者会見を開いた比屋根方次町長は「クラシンウジョウガマは、地域の宝。利用に当たっては、地域との合意形成が避けては通れない」と話した。字具志頭の久保正雄区長は「締結は、ゴールでなく、出発点だと思う。ガマが南部観光振興の一助となればいい」と期待を込めた。
 町は、壕の管理をNPO法人自然体験学校(若林伸一理事長)に委託。今秋から、保険料込みの入壕料、1人当たり300円を徴収。このうち、20円を「協力費」として具志頭区に納付する。さらに、入壕の際は、ヘルメット着用を義務付けるほか、壕使用マニュアルの作成、地元具志頭区在住のガイド育成を進める。

クラシンウジョウガマの入壕管理をめぐり、協定書を締結する(左から)久保正雄具志頭区長、比屋根方次八重瀬町長、NPO法人自然体験学校の若林伸一理事長=19日、同町役場
旧日本軍の陣地壕「クラシンウジョウガマ」