季刊「けーし風」の創刊20周年を記念し、第5回東アジア批判的雑誌会議を沖縄に招致したシンポジウム「連動する東アジア-真の地域の平和を目指して」(沖縄大学地域研究所など主催)が29日、那覇市の沖縄大学同窓会館で始まった。初日はソウル大学名誉教授の白楽晴(ペクナクチョン)さんが「『核心現場』から現代アジア思想の探求へ」と題して基調講演し、超国境的な連携・交流で東アジアを分断する国家主義を克服しようと呼び掛けた。
沖大土曜教養講座との共催で、アジア各地域から集まった研究者や編集者が30日まで議論を交わす。
白さんは、1966年に雑誌「創作と批評」を創刊し、朝鮮半島の分断体制や軍事独裁政権を批判してきた。白さんは沖縄の米軍基地について「米国が自らの覇権国家的な位置を維持するため、同盟国である日本内部の構造的矛盾を悪用、助長する現実を赤裸々に示している。南北朝鮮の軍事的緊張は、米国の東アジア支配と沖縄基地の維持に極めて便利な口実になった」と朝鮮半島の冷戦構造と米軍基地の沖縄固定化が連動していることを指摘した。
また「沖縄は一層高い次元で、近代世界体制における国家主義の問題や東アジアの地域連帯の性格を提起する核心現場だ」と述べ、与那国町の「自立・自治宣言」や、2009年の「台湾東部・八重山諸島観光経済圏」合意が、国境を超えた地域連帯の新たなモデルになり得ると期待した。
一方、沖縄側から呼応した沖大名誉教授の新崎盛暉さんは「国家主義を克服する予兆として取り上げてもらった島が今、国家主義のターゲットとなっている。尖閣をめぐる中国脅威論、北朝鮮対応と称するPAC3配備が与那国への自衛隊配備に発展し、現実になろうとしている。国境を超えた民衆連帯を切り裂くような政策を日本政府が無神経に推し進めることに、どう反転攻勢できるのか課題だ」と指摘した。
英文へ→East Asian Critical Journals Conference aims to overcome nationalism