植物工場 人材育てる 栽培から流通 6次産業実践


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植物工場の野菜を収穫する、県事業「植物工場を活用した6次産業化モデル事業」による雇用者=6月26日、糸満市のインターナショナリー・ローカル(同社提供)

 光や温度を人工制御して野菜を栽培する「植物工場」を運営するインターナショナリー・ローカル(糸満市、佐々木康人社長)は、工場運営を通し、6次産業化を実践できる人材の育成に取り組んでいる。

県流通政策課の雇用事業「植物工場を活用した6次産業化モデル事業」の一環。雇用者は同社で生産から流通までを学び、技能向上を図る。県は人材育成による雇用拡大と、植物工場で栽培した野菜の知名度向上につなげたい考えだ。
 インター社は同事業で現在、3人を雇用している。既に工場での野菜栽培や商品製造についての基礎知識を習得。卸売り、小売業者との交渉にも同席しており、流通知識を身に付ける経験も着実に積んでいる。
 3人はそれぞれ、前職で接客や営業、デザイン作成などの経験を持つ。佐々木社長は「接客の経験は試食販売に、デザインの経験は商品のポップ作成などに生かされている」と、経営面での貢献を協調する。今後はコスト管理や収益の概念に関する知識の研修も順次始めていくという。
 事業費は1771万円の見込みで、事業期間は2012年8月~13年7月。人材育成のほか、供給量の増加や新たな商品活用メニューの開発にも取り組んでいる。事業終了後も雇用を継続する意向だ。
 一方、同社は同事業の一環として、12年10月~13年3月に県内6店舗の量販店で植物工場で製造した野菜のニーズ調査を実施した。
 消費者からは「値段が高い」「量が少ない」との指摘が多く、量販店からはアイスプラントやベビーリーフなど珍しい野菜が多いことから、「調理法をもっと見せてほしい」「島野菜など“沖縄ならではの”商品も検討してほしい」といった要望が多かった。
 これらの課題を受け同社は、3種の野菜を入れた「インロコセット」の試験販売や、月1~2回開催する社内試食会で新たな食べ方を試すなどニーズの掘り起こしを図っている。
 佐々木社長は人材育成について「自分たちだけ成功しても、植物工場を広げるには限度がある。普及するためにも、優秀な人材が多く必要だ」と雇用事業の効果に期待している。
(長嶺真輝)