【石垣】尖閣列島戦時遭難者遺族会(慶田城用武会長)は3日、石垣市新川の慰霊碑前で慰霊祭を開いた。遭難事件で亡くなった人々の遺族ら約50人が参列してみ霊に手を合わせ、世界の恒久平和を願った。
尖閣列島戦時遭難事件は沖縄戦の組織的戦闘終結後の1945年7月3日、石垣島から台湾へ向かっていた疎開船2隻が米軍機の爆撃を受けた事件。1隻は沈没し、魚釣島に漂着したもう1隻の疎開者らも助けが来るまで食料がない孤島に取り残され、多くの犠牲者を出した。
慶田城会長は中国公船による尖閣海域の領海侵犯や、日本の政治家による魚釣島への上陸、洋上慰霊祭開催などが繰り返されていることに懸念を示し、「遺族会の願いとは裏腹に、『領土を守る』という名目で日中の争いが悪化している。政治的アピールに利用されていることに憤りを感じる」と述べ、強く批判した。
また「軍隊やオスプレイの配備ではなく、話し合いの場を設定することが必要だ。石垣市が中心となって主体的に動けば、県、国を動かせる」と提案した。
参列した中山義隆市長は「残酷な戦争は二度と起こしてはいけない。提案を受け、しっかり取り組ませてもらいたい」と述べた。