中小企業22業種 円安で半数「悪化」 原料高など圧迫


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 県中小企業団体中央会(津波古勝三会長)は12日、会員企業を対象にした円安による経営への影響調査(6月)結果を発表した。前月に比べ、全22業種のうち「悪化」は11業種、「不変」11業種、「好転」1業種―となった。

4月から毎月調査しており、「悪化」業種は4、8、11と増加した。製造業部門で燃料や原料などの高騰が経営状況を厳しくしている。繊維・同製品業は、中国からの輸入糸に依存している絹手紡糸が円安と品不足から価格が値上がりし、製品の安定供給へ不安を示した。行政支援を求める声があった。
 非製造業の青果卸売業でも、円安は輸入物の原価上昇につながっているが、販売価格に転嫁できずに、収益を削って納品している悪循環が発生している。
 ホテル旅館業は、海外旅行からのシフトなどによる観光客増がある一方、食材と重油価格の値上がりや宿泊単価の下落が見られるとし、「好転」「悪化」の双方と回答した。
 酒類製造業は泡盛の原料米価格への直接的な影響はないとし、現状は「不変」と回答。国内・国際市場とも原料は値上がり傾向にあり、今後の円安影響に注視していくとした。
 一方、6月分調査で初めて実施した環太平洋連携協定(TPP)への影響調査も発表した。「メリット」1業種、「デメリット」2業種、「影響なし」4業種、「分からない」15業種―となった。
 遺伝子組み換え作物など食品の安全性を問題視する意見などがあった。
 「メリット」と回答した青果卸売業は「関税が安くなることで輸入品の価格が下がり、食料品を中心に安価な商品を消費者に提供できる」と説明した。