活躍した時代の名曲をカバー
タケカワユキヒデ、石川ひとみ、サーカスなど1970~80年代を駆けた歌手が、その時代の名曲をカバーする企画盤4作が話題に。ここでは、女性曲を歌った本作を紹介したい。
全10曲、73年の『色づく街』から85年の自身のヒット『タッチ』までをセレクト。原曲の激しさや寂しさをなぞりつつ新たなアプローチの編曲と少しハスキーで温かな歌声の統一感が心地よい。例えば、姉・宏美の『二重唱』では、アラブ風のイントロから、全体の昭和テーストが漂い、その後の疾走感や彼女の滑らかな歌声も映え、結果的に内気な乙女の一面も垣間見える。
意外なのは、中島みゆき提供の『春なのに』『しあわせ芝居』。どちらも悲恋の歌だが、岩崎が歌うとやるせない状況を気丈に耐えているように聞こえる。原曲では自身の想い出に浸れるのに対し、本作ではこの女性に感情移入する。これぞ選曲の妙だろう。
本作から、穏やかな性格や声質がもたらす空気の変化に気づくはず。
(徳間ジャパンコミュニケーションズ・2000円)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)
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岩崎良美
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