『恋愛呼吸』 加藤俊朗、服部みれい著


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息で結婚(はぁと)
 「掃除で開運」は、わかる気がする。「動けば痩せる」は、まあ常識。「トイレに女神」は、いないと思うけど言わんとしてることは理解できる。そして2013年、新説が誕生しました。「呼吸で結婚」……いやいやいやいや。ないないないない。あまりの「なさ」っぷりに脱力。マユにツバ塗る気も起きないわ。こんな冗談みたいな本が発売されるなんて、出版不況も深刻なのかしらん?と勘ぐる始末。

 書名は『恋愛呼吸』、オビには「呼吸で結婚!」。本書は、雑誌「murmur magazine」の編集長であり詩人の服部みれいさん(バツイチ。男日照り歴数年。そして若干、不思議ちゃん)とヘルスケア・トレーナーの加藤俊朗さんの共著。服部さんが加藤先生に教わり呼吸を改善してから、あれよあれよと彼氏ができて電撃結婚するっていう、ウソのようなホントの話と、その呼吸法を紹介した一冊だ。
 加藤先生曰く、基本の呼吸は息を吐く時「男がほしい」と思い、息を吸う時「男ができた」ってイメージするんだって。
 ふぅ~(男がほしい……)、すぅ~(男ができた……)。
 ふぅ~(男がほしい……)、すぅ~(男ができた……)、ふぅ~(男ができた、最高……!)って何これ!!! 本気すか!
 自分の中に湧き起こる疑問質問オブジェクションをぐっとこらえて読み進めると、「妄想呼吸法」なんてのも登場する始末。呼吸をしながら架空のデートを楽しむんだって。本書で例に挙げているのは湘南へのドライブデート。途中立ち寄る喫茶店は「カフェ エーゲ海」。ここはどこ!1974年!?
 ……と、さんざんニヤニヤしながら読み進めてしまったけど、本書に満ちあふれているのは、服部さんの「結婚できて超幸せ!」と、「この方法、みんなに教えたい!」って感情。あと全編通してすーっごい、楽しそうなんですよね。こんなにも、伝えたいっていうストレートで前向きな気持ちがあふれている本って、なかなかないかも。彼女のまっすぐさに、ニヤニヤしつつもちょっと感動。そしてさんざんバカにしてたくせに、ページをめくるにつれて、いつもより深く呼吸している自分に気付き、若干ビビる。
 永六輔似の加藤先生と、天真爛漫でマイワールド全開なハットリくん。登場するワードの強烈さにさえ慣れたら(例:「宇宙の調和」、四十路の自分を「ガール」呼ばわり、など)、この本はかなり説得力がある、ような気がしてくる。さあ! ごぶさたガールたち、頭を柔らかくしてレッツ・トライ!
 ふぅ~(男がほしい……)、すぅ~(男ができた……、以下、延々と続く)。
 (中央公論新社 1300円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット 出版社でOLをしつつ、ライターとしても細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)

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