『ホワイトハウス・ダウン』 大統領も戦う暴挙に突っ込みどころ満載


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中山 治美

 ジェラルド・バトラー主演『エンド・オブ・ホワイトハウス』に続き、またもホワイトハウスがテロリストに襲撃されて危機一髪! 前作は“北の国”を支持するメンバーが画策したものだが、今回は米大統領が中東からの米軍部隊撤収発言に端を発し、軍事産業で恩恵を受けていた輩から猛反発を受ける。

 いずれも同じホワイトハウスを舞台に、昨今の社会情勢が反映された内容。だが、同様の企画ながら両者の出来は月とスッポン。リアリティーに徹した『エンド・オブ・ホワイトハウス』に対し、こちらは大統領も一緒に戦わせるという暴挙に出て、突っ込みどころが満載。腹を抱えて楽しませてもらった。
 なにせ監督が、『インディペンデンス・デイ』や『GODZILLA』などで地球をめちゃくちゃにしてきた破壊王ローランド・エメリッヒである。テロリストの息の根を止めるためなら、人質はおろか大統領の安否もお構いなしで米国最強の兵器を次々とぶっ放す。もちろん1792年着工という歴史的建造物なんてことはお構いなしだ。
 ただ、関係者の証言を元に再現されたであろうホワイトハウス内部は必見。まさかこの映画を参考にした模倣犯は出ないよね? ★★★☆☆(中山治美)

 【データ】
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス
8月16日(金)から全国公開
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。
(共同通信)