非婚世帯に「みなし控除」拡大 保育料適用は19市町村


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非婚世帯に寡婦控除を適用している自治体

 婚姻届を出さずに子どもを生んだ非婚の母子(父子)世帯について、離婚や死別した寡婦世帯と同じように「寡婦控除」を適用する「みなし控除」を実施している市町村が県内で増えていることが17日までに、琉球新報の調べで分かった。

非婚世帯が公営住宅に入居する際の家賃を「みなし控除」の対象としているのは5市町村だった。2011年に宜野湾市などで適用が始まった、保育園の保育料への「みなし控除」適用は、予定がある自治体も含めて全41市町村の半数近くに当たる19市町村に上った。
 公営住宅で「みなし控除」を適用している自治体は宜野座村、金武町、恩納村、豊見城市の4市町村。那覇市は、寡婦控除を受けたときと同等の家賃となるよう独自に減免規定を改正し、ことし6月から適用。県営住宅が6月から非婚世帯の家賃減額に関する規定を設けたことから、今後、各市町村に波及するとみられる。
 保育園の保育料については11年以降、適用する市町村が相次ぎ、2年間で16市町村に上っている。このうち名護市など7市町村が本年度新たに適用した。南風原町、読谷村、浦添市の3市町村が本年度内の適用に向けて準備を進めている。
 一方、幼稚園の保育料については、沖縄市だけがことし4月から適用している。住民税や所得税については、どの自治体も対応しておらず「法制度が変われば、対応したい」という回答が3市村、「検討中」「調査中」が7町村あった。
 調査結果について「しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄」代表の秋吉晴子さんは「全ての子どもは平等という視点に立つと、自治体の裁量で『みなし控除』を適用することも大事だが、『寡婦』の定義に非婚を含める法改正をすれば、非婚だけを区別する不平等は解決できる」と述べた。(知花亜美)
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 調査は7月5日に各市町村にアンケート用紙を送り、7月中旬までに全市町村から回答を得た。寡婦控除の適用の有無について(1)保育園の保育料(2)幼稚園の保育料(3)公営住宅の家賃(4)住民税(5)その他(6)非婚世帯数―を聞いた。

<用語>寡婦控除
 戦争で夫を亡くした人のため1951年に始まった税法上の制度。死別、または離婚して子どもを扶養する人に適用する。所得税や住民税を計算する際に、所得から27万円(特定の寡婦に該当する人は35万円)が差し引かれ、課税額が低くなる。