『12年目のパリ暮らし』 中村江里子著


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それでもやっぱりパリが好き!
 フランス人と結婚し、現在パリにお住いの元アナウンサー・エリコさま(中村江里子)のご著書。先日、テレビでお見かけしたパリ生活があまりにも優雅だったので気になっていた。まさに、セレブ、セレブ、セレブ!! を体現されていらっしゃり、なんだかとってもパーティ・ピープル。個人的には、同時期に著書を発売された同じく元アナウンサーでありパリ在住の雨宮塔子さんの生活のほうが魅力的に映ったが、書籍のほうはといえばあまりにも薄っぺら(中身ではなく見た目)で驚いた。なのでエリコさま本をチョイス。

 女性の憧れ、パリ。映画でよく見るパリの美しい街並み、石畳の道、エッフェル塔の見える部屋、お洒落なパリジェンヌ。一度は暮らしてみたいと夢見る街も、暮らすとなると、しかもフランス人に嫁入りするとなると、一筋縄ではいかないようで。
 デパートやカフェの店員やタクシー運転手の対応の悪さにトイレなどの不衛生さ。この衛生面の意識の違いは、古い美しい建物の裏に潜む陰の部分を垣間見た気がする。やっぱり、キレイなトイレがいい……。
 何より驚いたのは、友人とのディナー、週末を一緒に過ごす機会の多いこと! これはセレブリティーだからなのか、それとも一般家庭でも同様なのか。こんなに毎日、毎週末家に呼ばれたり、呼んだりしないといけないのかと思っただけでげんなりする自分は、フランス人とは絶対に結婚できないやと、早々に諦めがついた。
 加えて、旦那さまは毎日朝から晩まで「愛しているよ」とか、「きれいだよ」と言ってくれるそうで。「そんな男性がそばにいることが、どんな高価なプレゼントよりも大切なのかも……と思うようになりました」とのろけられているのを読むと、そりゃ、エリコさまはおキレイだもの~、と自虐の気持ちも止まらない。
 やっぱり、憧れは憧れのまま、遠くからこっそり眺めているのが自分の性には合っている、と強がりも込めて締めくくる。
 (ソフトバンククリエイティブ 1400円+税)=江藤かんな
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江藤かんなのプロフィル
 えとう・かんな 1980年生まれ。書籍編集を経て、雑誌編集の道へ。女性の興味・関心ごとを探る日々。好きなものは、こけしとおかし、お寺と仏像、お笑い全般。得意ジャンルは、雑学、ブーム、ゴシップ系。くだらないこと(もの)、大歓迎!
(共同通信)

12年目のパリ暮らし   パリジャン&パリジェンヌたちとの愉快で楽しい試練の日々
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