『ガッチャマン』 チームプレーのあり方を問う


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 タツノコプロによる1970年代の名作アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』を実写映画化したSFヒーロー映画だ。実はこのアニメは、5人組ヒーローのルーツ。『秘密戦隊ゴレンジャー』から始まる“スーパー戦隊”シリーズで日本に5人編成のヒーロー・チームが根づいているのは、このアニメの影響らしい。そして、ハリウッドでは近年、『アベンジャーズ』『モンスターズ・ユニバーシティ』など“チームプレーもの”がブームとなっている。サッカーの本田圭佑選手の発言などでチームワークの意味が問われている今、時流を得た公開と言えよう。

 謎の侵略者ギャラクターによって地球の半分が壊滅状態に陥った近未来を舞台に、彼らに対抗できる力を備えた結晶体“石”を操る5人の若者=ガッチャマンが、人類のために戦う話だ。“石”に選ばれたが故に戦う義務を背負うという設定や、異なるスキルを持つ個性的な5人が次第に団結していく展開など、チームプレーのあり方を問う脚本は練られているし、SF考証的にもリアリティーがある。
 けれども、VFXやアクション面に関しては、今夏のヒーロー映画のライバルとなる『マン・オブ・スティール』(スーパーマンの新シリーズ)のレベルには程遠い。この分野で日本がハリウッドに追いつくのは、まだまだ先のことのようだ。★★★☆☆(外山真也)

 【データ】
監督:佐藤東弥
出演: 松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽、濱田龍臣、鈴木亮平
8月24日(土)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

(C)タツノコプロ/2013映画『ガッチャマン』製作委員会
外山 真也