『マン・オブ・スティール』 スーパーマンの前日譚をバリバリのデジタル感で


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米の人気コミック『スーパーマン』の前日譚を、『ダークナイト』などの新生「バットマン」シリーズが高く評価されたクリストファー・ノーラン監督が製作&脚本を手掛けたことで映画ファンの注目はアツい。筆者もカッコイイ予告編に期待した一人だ。だが後半の、拳一振りで人間が軽くビル5軒を突き抜ける超人&音速の闘いは、デジタル感バリバリでゲームのよう。さらにその描写がくどい。正直、興醒めしてしまった。

 それまでの展開はとても良いのだ。惑星クリプトン崩壊直前に、未来を託されて地球に送られてきたクラーク。牧場を営む両親に育てられながら、徐々に自身の尋常ではないパワーに気付き、戸惑い、そして自分が今、ここに存在して闘う意義を見いだしていく。奇しくも実写版『ガッチャマン』と同じテーマを題材にしているが、こっちはヒーローになる覚悟と潔さも明解なので共感を抱きやすい。さらにクラークの両親役にケビン・コスナー&ダイアン・レインと1980年代スターを起用しているところも、映画ファンにはグッとくる。
 ここはとっとと気持ちを切り替え、心は早くもシリーズ第2弾へ。新生『バットマン』も第2弾の方が面白かったし。ただなぁ、またスナイダー監督だよ…。教訓・やり過ぎ厳禁。★★★☆☆(中山治美)

 【データ】
監督:ザック・スナイダー
脚本・製作:クリストファー・ノーラン
出演:ヘンリー・カビル、エイミー・アダムス
8月30日(金)から全国公開
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。
(共同通信)

TM&(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. TM&(C)DC COMICS
中山 治美