高江ヘリパッド移設工事 住民の会が審査要求へ


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 【東】2011年度に沖縄防衛局が発注した米軍北部訓練場内のヘリパッド移設工事で、本来の価格より過大な支出の可能性があるとして、東村高江の「ヘリパッドいらない住民の会」が、近く会計検査院に審査要求することが17日、分かった。

防衛局の公開資料に基づき、工事費1億1639万円の約3分の1を占める大型土のう製作設置・運搬費約3850万円や人件費約92万円で不明朗な支出があると住民の会は主張している。
 工事に使う大型土のうは防衛局が公開した単価表によると、1袋当たり砕石1立方メートルを使う。実際には0・5立方メートルしか使っていなかったが、1立方メートルを使った単価で計上されていた。
 住民の会が情報公開請求で得た資料によると、土のうに使う砕石は795立方メートルあり、製作設置・運搬費に「2350袋」分を計上していた。795立方メートルで2350袋を作れないとして詳細な説明を求めた同会に防衛局は、1立方メートルを使ったとした当初の説明を撤回し「使用したのは0・5立方メートル」と、積算根拠と異なる内容に訂正した。
 土のう運搬は、2350袋を現場に運ぶのに北部訓練場内で積み替えが必要だったとして、3回に分けた運搬費を計上したが、その後の説明で防衛局は「現場ではなくゲート近くに保管した」と変更した。住民の会は「1袋当たりの砕石量が減れば(製作・設置、運搬費とも)単価は下がるべきだ」と指摘している。
 警備員人件費は1人2万1千円を44人分計上。防衛局の単価表で警備員は1日7700円だが、約3倍高額な資格者の単価が適用されていた。住民の会が疑問や矛盾点をただすため、製作した土のうの数を証明する現場写真や砕石購入量を示す伝票の有無、警備員が持つ資格を尋ねたが、回答はなかったという。
 住民の会が会計検査院に審査要求することについて沖縄防衛局は琉球新報の取材に対し「住民の会が審査要求することは承知していない。いずれにせよ他の工事などと同様に適切に対応している」と回答した。

<用語>会計検査院の審査要求
 国の会計経理に関し、利害関係人の申し立てを受けて行われる。審査の結果、是正が必要な事例が見つかった場合、会計検査院が主務官庁と要求を申し立てた人に是正内容を通知する。