琉大が県内初「体内植え込み型補助人工心臓」手術


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体内植え込み型補助人工心臓の仕組み

 琉球大学医学部付属病院第二外科の國吉幸男教授と稲福斉講師は18日、同病院で会見し、6月上旬に県内で初めて「体内植え込み型補助人工心臓」の手術を1例実施したと発表した。

手術を受けたのは重症心不全を患う60代の男性で経過は順調という。会見に同席した同男性は「体調が良くなりうれしい。退院したら買い物に出掛けたい」と話した。
 補助人工心臓は機能不全に陥った心臓のポンプ機能を代行する。植え込み型は血液ポンプを体内に設置し、左心室と上行大動脈をそれぞれつなぐ管も体内にあるため、屈曲する危険性が少ない。通院治療ができ就労などの社会復帰も可能になる。
 第二外科は2011年9月以降、東京大学医学部付属病院と施設提携を結び、植え込み型手術実施へ体制を整えてきた。琉大病院では1993年以降、血液ポンプを体の外に設置する「体外型補助人工心臓」の手術を14例実施してきた。体外型は左心室などと血液ポンプを結ぶ管が皮膚を貫通して外に出ている。そのため、管が曲がって人工心臓が十分に機能しない危険性があり、入院が必要だ。
 植え込み型手術は心臓移植でしか治療できない65歳未満の患者が対象。同病院によると、国内で心臓移植手術は年間約50例実施され、移植まで平均3年かかる。補助人工心臓はその間、心臓の機能を代行する。県内で植え込み型手術を実施できるのは同病院のみ。全国では「植込型補助人工心臓治療関連学会」から認定された27施設が手術を手掛けている。2011年4月に医療保険が適用された。