『愛しのワードローブ 私のクローゼット365日 Part2』 雅姫著


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若けりゃいいのか?
 じゃーん、出た! 雅姫様、四十路を過ぎてもマイワールド、健在です。
 「オトナ女子(うわー)」たちにとってのカリスマモデルであり、自身のブランドのデザイナーも務める雅姫さん。彼女の新刊のテーマは「おしゃれのテクニックを大公開!」。彼女のクローゼットの中にある、お気に入りの洋服たちを通して、アイテムの選び方から着回し例までを紹介という、いわばコーディネートのハウツー本。

 いや~……雅姫ワールドは、相も変わらずフェアリーかつガーリーかつマニッシュ。少女であり少年、って感じ。『ピーター・パン』に出てくるウェンディを彷彿させる白いネグリジェ(死語か?)に、コットンのスニーカー。頭のてっぺんで無造作に作られたおだんごヘアに、ピンクのチークはまるで紅潮した子供の頬。あの……四十路が膝上丈の生成りスカートなんてはいて、大丈夫? ピーコやドン小西にバレたら、ブチ切れられんじゃないの? なんて余計な心配をしたくなる。
 1億総ロリコンと言われる我が国ニッポン。20代の若い女の子と結婚して、うらやましがられてる男、ってのはよくある話ですが、若けりゃいいってもんじゃないよね。でも雅姫様、時に16歳、14歳、21歳、果ては8歳が着ていてもおかしくないような服を着てる。もっかい言わせて。若けりゃいいってもんじゃないよね!?
 この歳にしかできない着こなし。それができて初めておしゃれと言えるのではないか、というのは単なる持論です。そういう意味で雅姫様の本には、日本女性が持て余している「年相応の色気」が、図らずも浮き彫りになっちゃってる感が否めない。
 「若さ信仰」のあおりを受けて、大人になりきれない日本女性たち。彼女たちにとって雅姫さんの突き抜けたファッションセンスは見ていて気持ちがいいのかもしれない。「雅姫さんだってこんなガーリーな服着てるけど、結婚だって出産だってできてるし! 大丈夫!」みたいな。そう考えると、彼女が求められ続ける理由がよくわかる。そこに幸せはあるのか?という疑問はさておき。
 (マガジンハウス 1500円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット 出版社でOLをしつつ、ライターとしても細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)

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