無印良品で琉球ガラス 3者でオリジナルを共同開発


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 県内で最も古い琉球ガラス工房の奥原硝子製造所(那覇市)、生活雑貨店「無印良品(MUJI)」を展開する良品計画(東京)、伝統工芸品卸・小売のゆいまーる沖縄(浦添市)の3者は、琉球ガラスを共同開発した。

良品計画では近く開設する米国の新店舗で、同商品を取り扱う構想を持つ。奥原硝子製造所の上里幸春工場長は「沖縄の伝統工芸品の発信の点からも海外展開はすごく励みになる」としている。
 3者が共同開発したのはグラス(大、中、小)、プレート、鉢の5種類で緑色系や茶系など4色。無印良品青山店など全国7店舗で8~9月にかけて開いたイベントに約380個納入し、ほぼ完売となる売れ筋商品となった。
 良品計画企画デザイン室の川崎富美氏は「廃瓶や窓ガラスなどを活用した再生の視点や歴史的背景など琉球ガラスにはストーリー性がある。大量生産、大量販売は難しいが、作り手のぬくもりを感じる」と評価。「米国でもぜひ展開したい商品」と述べた。
 良品計画が昨年3月に開催した全国47都道府県の工芸品販売の事業の一環で、琉球ガラスに着目したのが共同開発のきっかけ。伝統的製法を守り続ける奥原硝子製造所の商品に注目し、同製造所と取引のあるゆいまーる沖縄が協力した。既存商品の販売だったが好調に売り上げた。
 今年8月には特産品を7件に絞った形でイベントを開き、再び琉球ガラスを選択、オリジナル商品製造へつなげた。
 一連の取り組みについて、上里工場長は「利用者目線に立ち、使いやすさにこだわった。職人が少なく、需要に応えられない面もある」とうれしい悲鳴も上げる。
 琉球ガラス生産・販売協同組合の理事も務める、ゆいまーる沖縄の鈴木修司社長は「土産品としての見方が強い中で新しい価値の創造につながる」と全国大手との共同開発の意義を強調。海外展開を見据え「琉球ガラス業界としても新しいステージへの一歩になるだろう」と期待した。
(外間崇)

共同開発したオリジナル商品のグラスやプレートなど
良品計画、ゆいまーる沖縄と共同開発した商品の製造に励む上里幸春氏(左)と桃原正城氏=11日、那覇市の奥原硝子製造所