こども医療費 全市町村で「窓口手続き」不要へ


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こども医療費助成自動償還方式市町村の実施予定

 県福祉保健部は17日、医療費の自己負担分が原則無料となる「こども医療費助成制度」の受給方法について、保護者が市町村窓口に出向いて手続きする必要がなくなる「自動償還払い」方式を県内全41市町村が導入すると発表した。う

るま市が11月1日に実施し、来年1月に那覇市、宜野湾市、沖縄市、八重瀬町、南風原町が続く予定。2015年度までに34市町村が導入し、本部町、嘉手納町など残り7町村は時期は未定だが、導入を決めている。
 「自動償還払い」は、保護者が医療機関の窓口で医療費を支払った後、医療機関から自治体に診療記録が送られ、保護者の銀行口座に助成金額が自動的に振り込まれる仕組み。現行は保護者が役所窓口に足を運び、医療機関の領収書を提出して助成金を受給する「償還払い」方式が採られている。手続きに時間がかかる上、就労時間中に役所へ行くのが難しいとして、保護者から改善を求める声が上がっていた。
 一方、昨年7月時点で47都道府県のうち、37都府県は保護者が病院窓口で医療費を払う必要がない「現物給付制度」を実施している。県内の保護者からは、現物給付導入を求める声も根強い。県福祉保健部は現物給付にした場合、国民健康保険への国庫支出金が減額されることなどから「今後、検討したい」と述べるにとどまっている。
 「沖縄子どもの貧困解消ネットワーク」の山内優子代表は「一歩前進」と評価しつつも、「手元に現金がない人は病院に行けない。根本的な問題は解決されていない」として、現物給付の導入を求めている。

<用語>こども医療費助成制度
 子どもの病気の早期発見と治療を目的に、保護者が支払った医療費の自己負担分を自治体が助成する制度。実施主体は市町村。県と市町村で自己負担分を2分の1ずつ助成している。沖縄県の助成対象は通院が0~3歳まで、入院が中学卒業まで。市町村の中には独自に対象年齢を引き上げ、県の助成対象から外れる年齢については、単独で助成しているところもある。