家族の無念訴え原告ら賠償請求 南洋戦争被害訴訟


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国に謝罪と賠償を求める「南洋戦被害訴訟」の原告団ら=13日午前、那覇地裁前

 南太平洋で戦争に巻き込まれた県出身の民間人やその遺族らが原告となり、国に対して謝罪と1人1100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、那覇地裁(鈴木博裁判長)で開かれた。

原告側は「(南洋戦で)日本軍は住民殺害や強制集団死、玉砕命令などあらゆる残虐な行為をした」と指摘し、国が国民保護義務に違反したことなどを指摘した。国側は棄却を求めた。
 原告団は24人で、最高齢は102歳。サイパンやテニアン、パラオ、フィリピン、台湾などで戦争に巻き込まれた人などが原告に参加している。
 弁論では、パラオからフィリピン、台湾を経て引き揚げる途中、マラリアや栄養失調で母やきょうだいなど家族4人を失った上原和彦さん(75)=南城市=が意見陳述し「裁判官は家族4人の無念さをくみ取ってほしい」と訴えた。上原さんの父親は戦後に援護法に基づき補償を申請したが、役場の担当者に「台湾では戦争はなかった」として認められなかったという。
 国側は、原告の損害は国家賠償法の施行前であり国が賠償責任を負わないとする論理などを理由に、原告の請求は法的根拠を欠くとして棄却を求めた。
 またこの日は、沖縄戦の民間戦争被害の謝罪と賠償を求める訴訟の第6回口頭弁論も開かれた。