保護者の自覚重要 学力向上で議論 浦添市社会教育研究大会


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「浦添市社会教育研究大会」で、子どもたちの学力向上について語り合う登壇者=8日、浦添市男女共同参画推進ハーモニーセンター

 子どもの学力向上をテーマに第37回浦添市社会教育研究大会が8日、同市ハーモニーセンターで開かれた。「学力向上には保護者の自覚が重要」との提言があったほか、読書冊数や家庭学習用「がんばりノート」の冊数だけを求める「見せ掛け成果主義」への批判や、部活動の過重負担の見直しを求める意見などが出た。

 琉球大准教授の西本裕輝氏は「どうする『最下位』沖縄の学力」と題して講演した。西本氏は沖縄の子どもたちの状況を「夜更かしや朝寝坊をして朝食を取らないなど生活が不規則だ」と指摘した。十分な睡眠時間を確保し、朝食を取り、親子の交流ができている子どもほど学力が高いことを強調し「保護者の行動が子どもの学力にとても影響がある。どれだけ保護者が子どもと関われるかが大事だ」と訴えた。
 西本氏は朝、学校へ親が車で送ることが「子どもは朝寝坊しても送ってもらえると甘えが生じ、生活リズムを乱す原因」と批判し、集団登校を推奨した。また過剰な部活動についても「成長期の子どもたちに休むことは大事」と主張した。
 討論では前田塾の前田整一塾長が、親が車で塾の送迎をしていることを「親にとって親の役目を果たしている感覚があり、対価として成績の成果を望んでは子どもはむしろやる気をなくす」と話した。また沖縄の小中学生が読書の冊数で全国上位という状況について「あまり本好きではない子が、とても薄い本を選んで『10冊読んだ』と自慢するような現状だ」と報告し、「がんばりノートもノートを埋めることだけに一生懸命になっている。塾もごまかしの勉強はさせたくない。見せ掛けの成果主義では駄目だ」と批判した。
 質疑応答では、参加した女性から「部活の先生がどれだけ苦労してきたか、批判されるのはおかしい。学力向上も沖縄の教師は頑張ってきた」との意見が出た。西本氏は「批判は承知の上だ。実際に部活に関わる先生から『休みたいのに休めない。辞められない』と多くの声がある。このままではいけない」と答えた。