「つながって回復を」 断酒会家族会きょうつどい


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「家族のつどい」への参加を呼び掛ける上地高志さん(右)と清子さん夫妻=14日、読谷村の自宅

 失業、家庭内暴力、借金、離婚―。アルコール依存症者のいる家庭は、さまざまな問題を抱え込みやすいといわれる。県断酒連合会家族会事務局の上地清子さん(64)=読谷村=は「家族がアルコール依存症を病気と認識させ、治療を受けさせることが大事だ。断酒会などの自助グループにもつながってほしい」と力説する。16日、宜野湾市で依存症者のいる家族を対象にした「家族のつどい」が開かれる。

 清子さんも、アルコール依存症だった夫の高志さん(62)が回復するまでの十数年間、幾多の困難を経験した。高志さんは30代に入ってから依存傾向が始まった。勤務先の組合活動に情熱を注ぎ、仲間と飲む機会が増え、酒量が増えていった。酒が片時も手放せなくなった。仕事中、禁断症状で手の震えが出ると、隠し持った泡盛を飲んで抑えた。
 医療機関を受診し、「アルコール依存症」と診断された。しかし、高志さんは認めず飲み続けた。清子さんはやめさせようと必死になり、1日中、夫の問題にのめり込んだ。転機は医師の言葉だった。「あなたが病気を助長している」。夫は、私が守ってくれると私に依存している。清子さんは、高志さんの問題と距離を置こうと再就職した。断酒会は一緒に参加した。
 断酒会で、アルコール依存症は治療対象の病気で、酒を断った後の再発防止には、人生の目標の再設定が必要なことを学んだ。清子さんの再就職と断酒会参加を機に、高志さんはアルコールを断つようになった。
 現在は県断酒連合会の事務局長を務め、当事者から相談を受けている高志さん。「本人は、病気を認めたがらない。家族が、断酒会とつながることが回復への一歩」と力を込めた。
 「家族のつどい」は16日午後1時から、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟A1で開かれる。アルコール依存症治療で著名な石橋病院院長の白坂知信医師も講演する。参加費無料で申し込み不要。詳細は事務局の上地さん夫妻(電話)098(957)4584。