国の文化審議会は15日、与那国町の「久部良(くぶら)バリおよび久部良フリシ」を国名勝に新たに指定し、宮古島市の「大神島の遠見台」を史跡・先島諸島火番盛(ひばんむい)に追加指定し、沖縄市の「美里村屋(んざとぅむらやー)」を登録有形文化財(建造物)に登録するよう下村博文文部科学相に答申した。これにより県内の名勝は12件、史跡は38件、登録有形文化財は77件になる。
「久部良フリシ」は砂岩と琉球石灰岩からなる海浜景観。その中央にある断層崖の亀裂「久部良バリ」は、琉球王府による人頭税に苦しんだとされる島民の伝承を生んだ。海浜は害虫の霊を海へ送る儀礼の場となるなど、島の精神文化を表す独特の風致景観になっている。
先島諸島火番盛は異国船の警戒監視や情報伝達の在り方を具体的に示すもので、2007年に18カ所の火番盛が国史跡に指定された。方位石を置いたものが多い。「大神島の遠見台」はトゥンバラと称する自然の巨石が残され、島民の信仰の対象となっている。
「美里村屋」は1954年にイヌマキ(チャーギ)で建てられた入母屋式の木造平屋。開放的な平面で、前面の軒を雨端柱で支えるなど地方的な特徴がある。公民館として建てられ、現在は空手教室や子ども会、青年会などの地域活動に利用されている。