「自分振り返る力を」 アルコール依存で家族集う


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 アルコール依存症者のいる家族や保健医療関係者らを集めた「家族のつどい」が16日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟であった。アルコール依存症の治療に携わる石橋病院院長の白坂知信氏が講演し、依存症者の病理が配偶者や子どもに影響すると指摘した。

回復には酒を断つだけではなく、「(当事者が)過去の生育歴や職場のストレスなどを語れるようにしてほしい」と呼び掛け、「自分の人生を合理的に振り返る力があることが大事だ」と強調した。
 「家族のつどい」は、17日に開かれる全日本断酒連盟50周年記念式典と第50回全国(沖縄)大会の前日行事として催され、県内外から約350人が参加した。
 白坂氏は、親が依存症者の子どもは主張や感情を抑えて生きてきたため、大人になって心理的外傷が残るAC(アダルトチルドレン)の問題を抱えやすいことを説明。仕事が続かなかったり、子育てが困難だったりする特徴が表面化するとした。
 解決に向けては「親との関係性でつらかったこと、我慢したことを語れるようにしてほしい」と述べ、ACの問題を抱える子を持つ親に対して「何かができるから評価するのではなく、存在するだけでいいんだと、子どもを受け止めて」と呼び掛けた。
 「つどい」では、県内外から4家族が体験を報告した。全国各地の団体の紹介コーナーもあり、参加者が交流を深めた。17日は午前10時から同センター展示棟で、記念式典と全国大会が開かれる。

県内外からアルコール依存症者のいる家族らが参加し、専門家の講演や家族の体験発表を通して交流した「家族のつどい」=16日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター
白坂知信氏