県内の鶏卵卸価格が夏場から上昇している。指標となるJA全農たまごのMサイズ加重平均価格(福岡)は、10月が1キロ当たり220円となり、6月と比べ60円高となった。11月15日現在は、前日比10円増の260円と高騰。夏場の猛暑で鶏の産卵量が減少したことに加え、気温の低下によるおでんや年末用のケーキの需要が高まっていることなどが影響していると見られる。
県外からの輸送費などを加味し、県内価格は福岡より約15円増が目安となる。10月の卸価格は、東日本大震災で供給が不安定となり、229円にまで上昇した2011年4月以来の水準に迫る勢いだ。
関係者によると、価格の上昇は卸値の低水準が続いた昨年の反動で生産量が減少しているほか、最近の飼料価格の高騰で、農家がひなを購入できなかったことも起因しているようだ。
量販店での小売価格も、夏場は150円前後だったMサイズ10個入りが、現在は200円前後にまで高騰している。県内大手量販店の担当者は「目玉商品として安売りする時は、赤字幅が厳しい」と嘆く。
一方、上原養鶏場(糸満市)の上原肇社長は「相場の上昇は経営としてはおおむね歓迎だ」としながらも、「これが続くと生産過剰になって値崩れする心配もある」と説明。スーパーなどに卵を卸す前田鶏卵(那覇市)の前田睦己社長は「仕入れ値の高まりで価格が上がれば、家計を圧迫してしまう。買い控えの懸念もある」と述べた。(長嶺真輝)