海沿い危険、内陸部を 大宜味・埋め立て地の小学校計画


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 【大宜味】琉球大学名誉教授で地震や防災などの専門家である加藤祐三氏が12日、大宜味村農村環境改善センターで「東日本大震災から学ぶもの」と題して講演した。

加藤氏は、埋め立て地「結の浜」に学校建設が予定されていることについて「津波は一瞬で大きな被害を与える。あの場所に学校を造るのは止めてほしい」と訴えた。
 講演会は、埋め立て地への小学校建設を反対する住民らが企画した。会場には約80人の村民が集まり、加藤氏の話に熱心に耳を傾けた。
 加藤氏は、東日本大震災で被害を受けた宮城県や岩手県の小学校をスライドで紹介。
 避難訓練の成果で助かった「釜石の奇跡」と呼ばれる鵜住居(うのすまい)小学校も現在は高台に移転していることなどを挙げ、「避難訓練よりも避難の不要な高所に学校を建設することがベストだ」と話した。
 村が学校建設予定地の海抜が高いとしていることについて、「海沿いと内陸は違う。海岸付近は波の速度も速い。海抜が高くても危険だ」と訴えた。
 また「結の浜」の盛り土はしまりが悪く、圧密沈下が起きていると説明し、「今後2、30年は下がり続ける。補修にも費用がかかる」と指摘した。
 講演を聞いた浅井大樹さんは「埋め立て地への建設は危ないと思っていたが講演を聞いてより強く思った。学校は高台に建設し、防災拠点にしてほしい」と話した。

熱心に耳を傾ける聴衆=12日、大宜味村農村環境改善センター
加藤祐三氏