隙突き 先手必勝 沖尚、4強入り 明治神宮野球大会


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沖尚―駒大苫小牧 1回に中越え三塁打を放つ沖尚の先頭打者、赤嶺謙=18日、神宮(大城周子撮影)

 明治神宮野球大会第3日は18日、神宮球場で準々決勝の残り試合が行われ、高校の部で沖縄尚学(九州)が駒大苫小牧(北海道)を5―3で下して準決勝進出を決めた。沖縄県勢の4強入りは1997年の沖縄水産以来16年ぶりとなる。

日本文理(新潟・北信越)は龍谷大平安(京都・近畿)を6―5で破った。大学の部では、31年ぶり出場の大商大(関西1)がタイブレークの末に2―1で近大工学部(中国・四国)にサヨナラ勝ち。2連覇を狙う桐蔭横浜大(関東1)は初出場の中部学院大(愛知・東海・北陸)を10―5で下した。沖尚は19日、岩国(山口・中国)と準決勝を戦う。

◆先頭打者 赤嶺大暴れ
 相手の隙を突くしたたかさと、大崩れしない堅実さ。沖尚が持ち味を発揮し、県勢16年ぶりの4強進出を決めた。スター選手がいるわけではない。だが、今の沖尚には総合力という強さがある。
 一回の先制パンチが効いた。先頭打者の赤嶺謙が粘って6球目をはじき返し、三塁打で出塁。続く打者は凡退で2死とした後、安里健の内野ゴロが相手失策を誘って1点を奪う。さらに四球を挟んで伊良部渉太、渕上大蔵の連続適時打で2点を挙げて優位に立った。
 三回は相手の失策に乗じて1点、六回は犠打で進めた走者を赤嶺が三塁打でかえして1点を加えた。この日は盗塁を三つ決めるなど機動力も光った。3安打1盗塁の赤嶺は、終盤まで攻めあぐねた初戦を振り返り、「今日は早いカウントから甘い球を狙い、足でもしっかり相手に圧力をかけるという積極性を意識した」
 駒大苫小牧は26歳の現監督が就任してから初の全国舞台で、この日の準々決勝が初戦。「球場の雰囲気に舞い上がってしまった」と先発した1年生投手は言う。対する沖尚は2戦目。比嘉公也監督は「自分たちの展開に持ち込めた」とうなずく。
 甲子園2季連続出場を経験し、一発勝負の怖さを知るナインに浮き足立つ様子はない。「戦力は前チームが上だと思うが、粘り強さは今の方がある」と指揮官。沖尚が神宮の主役になりつつある。
(大城周子)