沖尚、日本文理ときょう決勝 明治神宮野球 初V王手


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沖尚―岩国 4回沖尚1死二、三塁、中越え適時二塁打を放つ上原康汰=19日、神宮(大城周子撮影)

 明治神宮野球大会第4日は19日、神宮球場で準決勝が行われ、高校の部で沖縄尚学(九州地区)と日本文理(新潟・北信越地区)が勝って、ともに初の決勝進出を決めた。

大学の部は亜大(東都)と明大(東京六大学)が決勝に駒を進めた。決勝は20日にあり、高校が午前10時半、大学が午後1時試合開始。沖尚は一回に2点を先制すると二、三回にも1点ずつを追加。四回には打者一巡の猛攻で一挙7点を奪って岩国(山口・中国地区)を11―1の五回コールドゲームで退けた。日本文理は毎回の12安打を放ち、今治西(愛媛・四国)に10―3で七回コールドゲーム勝ちした。亜大は2連覇を狙った桐蔭横浜大(関東1)に対しタイブレークの延長十回、嶺井博希(沖尚高出)の適時打を皮切りに4点を奪って5―1で勝った。明大は1―1の六回に連続適時二塁打で3点を勝ち越し、大商大(関西1)を4―1で下した。先発の上原健太(あげな中―広島・広陵高出)は7回1失点の好投だった。

◆止まらぬ快音/11安打 圧巻コールド
 快音が止まらなかった。試合時間わずか1時間15分。沖尚が4イニングで11安打11得点と鮮やかな豪打で、県勢初の頂点に王手をかけた。比嘉公也監督は「ここまで来たら全員の力で勝てればいいと思っていたが、こういう展開になるとは思っていなかった」と言う。指揮官の予想を超えるナインの底力だった。
 一回、中前打で出塁した先頭打者の赤嶺謙を犠打で二塁へ進め、西平大樹と安里健の連打で1点を先制。これが圧勝劇の幕開けだった。この回、相手失策でさらに1点を加え、二、三回にも追加点を奪うと、四回は打者10人で6安打7得点と突き放した。相手投手はややボール球が先行し「捨て球」と「狙い球」がはっきりしたことも奏功した。猛攻の四回は、ほぼ全打者が初球か2球目を打っており、甘いと見た球は容赦なく振り抜いた。
 一度火が付くと止まらない打線。だが、それは勢いだけではない。3試合で7安打の赤嶺は「あまり決めつけず、打席の中でいけると思ったらいく」と口にしていた。大会初安打を記録した上原康汰は「ここまで変化球を振らされていた。今日も変化球を多く投げてくると思ったので、あえて変化球に狙いを絞った」。練習や経験に裏打ちされた対応力がある。泣いても笑ってもあと一つ。沖尚が、これ以上ない形で勢いを加速させた。(大城周子)