子牛の最高値更新へ 県内本年度 口蹄疫、震災が影響


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県内の平均子牛価格の推移

 2013年度の県内子牛価格が、過去最高値になる見通しだ。月の平均価格は1月から上昇を続け、11月は統計を取り始めた1976年以降で初めて50万円を突破。口蹄(こうてい)疫や東日本大震災に加え、繁殖農家の高齢化などで全国的に取引頭数が減少していることが影響している。

県内牛農家の大半を占める繁殖農家に好影響を与える一方で、県は将来を見通した経営設計を呼び掛けている。
 JAおきなわが21日までにまとめた県内8カ所の競り市場の11月平均子牛価格は、前年同期比31・3%増の50万3224円。価格にして約12万円増加した。前月比でも5・7%上昇しており、13年度に入ってからも約7万円上がった。
 10年に宮崎県で発生した口蹄疫や11年の東日本大震災による供給不安、近年の飼料価格高騰による離農、農家の高齢化などが影響しているようだ。
 現在の年度別平均価格の最高値は、06年度の44万8千円。01年に牛海綿状脳症(BSE)感染が国内で初確認された反動で、価格が上昇した。
 県の担当者は13年度の平均価格を48万円ほどと予想する。「今のところ価格が下がる要因がない。牛が足りない状況が続けば、今後も高値で推移するのでは」と話した。
 JAおきなわによると、県内市場の購買者は現在、8割以上が九州や東北などの業者だ。担当者は「東日本大震災以降、東北の購買者が南下してきており、全国的に高値となっている」と説明した。
 一方、県の担当者は「子牛の価格は7年くらいを周期に上昇と下落を繰り返す。今は飼料が高騰しているので、価格が下がると農家にとっては厳しい」と今後を見通す。「繁殖能力の高い子牛は、将来を見据えて売らないようにするなどの対策も必要」と呼び掛けた。
(長嶺真輝)