「第3子基準に疑問」 石垣市の保育所訴訟


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 認可保育所に同じ家庭の子が2人入所している場合、3番目の子の入所を事実上不可能としている石垣市を相手に、同市に住む男児と両親が第3子の認可保育所入所などを求めた訴訟の判決が26日、那覇地裁であった。

井上直哉裁判長は入所承諾などの請求を却下したが、第3子への入所基準について「合理性には疑問を差し挟まざるを得ない」とする判断を示した。
 ただ、第3子が入所できない期間が限定的なことや生活保護世帯などには適用されないことなどから「著しく不合理であるとまでは認められない」として違法性は認めなかった。
 訴状などによると、石垣市は2011年に男児の入所を第3子基準により不承諾とした。提訴後の12年3月に姉が卒園したため、男児は同年4月から入所した。このため、入所の承諾を求めた両親の請求は不適法として却下された。
 市は認可保育所に同一世帯の子どもが2人入所している場合、3人目は原則的に入所の優先順位から外している。市は市民の苦情を受け1985年ごろから多くの世帯の子どもを入所させる目的で基準を設けた。
 原告側によると、石垣市には3人目の保育料を無償とする規定があるが、第3子基準で3人目の子は自動的に待機児童になるため事実上適用されないという。裁判所は石垣以外の10市では同様の基準はなく、むしろ3人目以降の児童のいる世帯を有利に取り扱う市が「相当数ある」としている。
 原告側の弁護団は会見で「判決をきっかけにして、石垣市には第3子基準を撤回してほしい」と話した。