白保出土の2万年前人骨からDNA 国内最古


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 【石垣】石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡で発掘された約2万年前の人骨1体から、国内最古となるDNAが検出された。旧石器時代の人骨が見つかった同遺跡に関する講演会が1日、石垣市民会館で開かれ、国立科学博物館人類史研究グループの篠田謙一グループ長が同日、発表した。

当時の人のルーツや現代人とのつながりを考察する上で重要な資料となりそうだ。
 篠田氏は日本や周辺諸国の古人骨DNA解析を基に、日本人の起源を研究している第一人者。スペイン征服以前のアンデス先住民のDNA研究にも携わる。琉球列島に住んでいた人々の系統が中国南部や東南アジアと関連深いことなどを明らかにしている。
 篠田氏の分析によると、2万年前の人骨は女性で、南方系のつながりがあるとみられる。白保の人は東南アジアから海を渡って北上したグループの一員だったと考えられるという。
 篠田氏は2万年前の人骨を含む10体の人骨を分析し、そのうち5体で有効な分析ができた。「正式に論文にまとめるのは先のことだ。2万年前の人骨は1体だが、何体かのDNAが集まれば、さらにいろいろなことが分かってくると思う」と話した。
 同遺跡からは、年代が特定できたものとしては国内最古となる2万4千年以上前の人骨も出土している。今年に入ってからも、1万6千~1万8千年前の地層から頭部の骨など重要な資料が次々と出土し、東アジアにおける人類進化の解明につながると期待が高まっている。
 1万6千~1万8千年前の地層から見つかった頭骨は状態が良く、顔を復元するプロジェクトも進行している。