県産ミーバイ、香港輸出好調 和食人気追い風


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養殖ヤイトハタの出荷作業をする久米水産の職員=11月26日、宜野湾市大山の旧宜野湾漁港

 魚の養殖、販売を手掛ける久米水産(うるま市、久米清一社長)は、ヤイトハタ(方言名アーラミーバイ)の香港向け出荷を本格化させている。2009年に香港への出荷を試みたが、1匹丸ごと蒸して食べる現地の料理文化に商品の規格が合わず中断していた。しかし、香港での和食ブームや富裕層の増加などを背景に、新たな需要を見込んでいる。

10月には約150キロを出荷しており、将来的には月1トンを目指す。
 ヤイトハタは中国や香港などで人気の高い高級食材。1匹を蒸して大人数で食べるのが一般的で、1キロほどの魚が最も需要が高いという。
 同社が出荷を中断した理由は、海外出荷では、1匹2キロほどでないと十分な利益が得られないためだ。しかし近年、和食や富裕層の増加で刺し身を食べる文化が浸透し、大きな魚でも売れる見通しが立ってきたという。
 外食や貿易事業などを展開するジェイシーシー(糸満市、渕辺俊一社長)を通して10月に出荷を開始し、11月にも200キロを送った。1キロ当たりの卸価格は、現地生産のヤイトハタの2倍近い約1500円。県産は身が引き締まっており、富裕層を中心に需要があるという。14年1、2月にはマカオのホテルで開催される沖縄フェアにも出展予定だ。
 現在の課題は輸送方法。香港は「生け魚」の需要が高い。昨年1月に試験的に出荷した時は、魚を生きたまま輸送できるように低温処置してから、現地の水槽に入るまで約12時間を要した。実際は10時間ほどが理想だとし、現在は時間短縮のために航空や輸送会社などと調整を進めている。
 同社は現在、月に出荷する3トンほどのうち県内8割、本土と海外に2割を出荷している。同社の新垣宗敏営業部長は「国内は少子化などで需要が伸び悩む中、海外市場は活性化している。将来的には現地での養殖も目指し、海外出荷をビジネスとして定着させたい」と話した。
(長嶺真輝)