国際模範の拠点に 性虐待で包括支援団体シンポ


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パネリストとして参加した、(左から)矢野恵美さん、竹下小夜子さん、嘉陽真美さん=3日、那覇市の県立博物館・美術館

 「沖縄に『ワンストップ支援センター』設立を強く望む会」(金城葉子、田中真生共同代表)は3日、那覇市の県立博物館・美術館で、支援センター設立に向けて「性虐待という視点から考えるシンポジウム」を開催した。

約70人が参加し、パネリストらは「国際的なモデルになるような、専門家の育成にも役立つワンストップ支援センターをこの沖縄につくろう」と呼び掛け、国内でもトップレベルのセンター設立を目指すことで意見が一致した。
 産婦人科医の嘉陽真美さんは「性虐待は発見が難しい。繰り返し同じ質問をすれば、トラウマ(心的外傷)になり、子どもに負担がかかる。1回の面接で専門家が包括的に詳しく聞くことが大事」と指摘した。
 その点、スウェーデンでは「こどもの家」という性被害に遭った子どものためだけの相談機関があるという。スウェーデンの事例を取り上げた琉球大学法科大学院の矢野恵美准教授は「日本では年齢が低いと告訴能力が問われ、被害に遭った子どもがさらに苦しむ。スウェーデンでは、捜査段階から子どもに弁護士が付いて『こどもの家』で専門家が一度で話を聞き、それが裁判資料になる」と述べた。
 精神科医の竹下小夜子さんは「県は病院拠点型のワンストップ支援センターを目指しているが、病院側が消極的という報道が目立つ。しかし病院現場では、国際的なモデルとなるような高いレベルの支援センターにしたいという声も漏れ伝わる」と指摘した。