鉄軌道15年度に計画案 知事、20年着工へ「加速」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 仲井真弘多知事は4日の県議会で、県が2020年3月末までの着工を目指す鉄軌道の導入に向けた工程の見通しを示した。14~15年度に県民の意見を募るパブリック・インボルブメント(PI)を実施した上で整備計画策定委員会(仮称)を設置し、県の計画案を策定する。照屋守之氏(自民)の質問に答えた。

 仲井真知事は「19年度末に工事に着手できるよう取り組みを加速していく」と導入に意欲を示した。
 県は13年度に鉄軌道の導入ルートや事業計画などの考えを取りまとめ、県民の同意を得るためPIなどを行う。
 16年度には県の計画案を基に事業化に向け国と調整し、事業主体と運行会社を決定するスケジュールを予定しており、環境影響評価(アセスメント)などの手続きに入ると想定している。

<基地>
 照屋守之氏 KC130空中給油機の岩国移駐など政府の負担軽減への評価は。
 又吉進公室長 普天間飛行場の危険性や騒音が低減することとなれば沖縄の負担軽減につながる。
 具志孝助氏 中国の防空識別圏設定に対する県の認識と航空機への影響は。
 又吉公室長 国土交通省に照会したところ中国が発表した防空識別圏は、那覇と韓国、台湾間の航空路の一部を含むが、現時点では航空機に特段の影響があったとの情報はない。重大な関心を抱いており、政府は平和的な外交を通じ不測の事態が生じないよう万全を期してほしい。
 具志氏 日米地位協定への環境条項追加について。
 又吉公室長 米軍基地をめぐる諸問題の解決には米側に裁量権を委ねる形となる日米地位協定の運用改善だけでは不十分だ。今後も両政府に地位協定見直しを粘り強く求めていく。

<空港>
 具志氏 下地島空港と宮古空港との一元化は。
 當銘健一郎土木建築部長 (2015年の)伊良部大橋使用開始後、2空港を維持することが困難な場合は1空港への集約も視野に検討を行う必要がある。
 具志氏 那覇空港の埋め立て申請の判断時期は。
 川上好久副知事 関係法令にのっとり承認基準への適合状況、利害関係者、那覇市長、豊見城市長、関係行政機関などの意見を総合的に勘案し、承認するか否か判断する。時期は今月以降になると考える。

<医療・福祉>
 具志氏 県内への重粒子線治療施設の導入で医療はどう変わるか。
 仲井真弘多知事 がんを切らずに治療する最先端の医療で、県のがん治療体制の大きな柱となる。財源に一括交付金を活用し、公設民営の運営について検討を深めていく。採算性については国内外からの集患や医療ツーリズムについて、県医師会や琉球大を中心に検討を深めてもらう。
 狩俣信子氏 特別養護老人ホームの待機状況はどうなっているか。
 川上副知事 昨年10月末時点での入所申込者は2041人。うち入所の必要性が高い高齢者は916人となっている。

<教育>
 照屋氏 地震で倒壊の恐れのある学校が避難場所に指定されているか。
 諸見里明教育長 避難場所に指定されている県内小中高校のうち、震度6強程度の地震で倒壊する危険性の高い施設の占める割合は22・1%。全国平均は14・5%。
 狩俣氏 本年度から行われている、特別支援学校教員による医療的ケアの実施状況は。
 諸見里教育長 昨年度の調査研究を踏まえ、教員1人が実施している。
 狩俣氏 特別支援校に常勤看護師を配置すべきだ。
 諸見里教育長 法的な定めがないので、全国都道府県教育長協議会などを通じて看護師の定数措置に向けて国に要望している。