米国法で返還前調査を 米環境団体事務局長が提案


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公開シンポ「軍事基地と環境」で登壇した国内外の研究者10人の話に耳を傾ける聴衆=7日、那覇市の県立博物館・美術館講座室

 琉球大学国際沖縄研究所公開シンポジウム「軍事基地と環境」(同研究所主催)が7日、那覇市の県立博物館・美術館講座室で開かれた。国内外の研究者10人が登壇し、米軍基地がもたらす環境汚染や返還基地の浄化手法などについて報告した。

約50人が耳を傾けた。米国内外で米軍基地の環境問題に取り組む団体、アークエコロジー事務局長のソール・ブルーム氏は、米国の法律を活用して返還前に予備調査を実施し、その結果を基にした日米の協議をすべきだと提案した。
 何千もの米軍基地を見てきたというブルーム氏は「地図を見れば汚染の可能性は想定できる」とする。米軍普天間飛行場や牧港補給基地の地図を示し、航空機運用や軍事車両整備に伴う燃料漏れや油などの化学物質による汚染の可能性を示した。普天間に規模が類似した米国の海軍飛行場の地図も参照し、敷地外に広がる地下水汚染の状況を報告した。
 一方、ソウル市街に位置する広大なヨンサン基地の返還が2016年に予定され、社会、政治問題となっている韓国。ヨンサン基地では既に汚染が見つかり、報じられている。韓国は韓米地位協定環境条項など先進的な取り組みが進んでいるが、現行では汚染の判断が米軍側にあり、日本同様、浄化責任を米国に問うことはできない。
 環境団体グリーンコリア局長のソ・ジェチョル氏は「韓国には、貧しさは我慢しても差別は我慢しない国民性がある。基地返還に関する規則や地位協定改定について、必ず新たな動きが起こるだろう」と語った。