【チャイナ網路】“金のブタ”の真相


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今年は旧暦で60年に一度の“金猪(チンヂュー)”(金のブタ)年といわれている。古来この年に生まれた子供は財を成し、生涯豊かに暮らせるとされるため、台湾や中国では昨年から、結婚件数や不妊治療の件数が急上昇。早くもおめでたい雰囲気に包まれている。
 中国の暦は10の天干と12の地支からなる60年を一巡りとする文字で表記される。世界が5つのエレメントで構成されると解釈する「五行」に照らせば、天干の甲乙はそれぞれ木、丙丁は火、戊己は土、庚辛は金、壬癸は水に属す。
 今年は丁亥年。丁は火に属するため、正確には“金”ではなく“火のブタ年”であるはずだ。本当の金猪年は、2031年を待たなければならない。
 俗に“金猪”とされているのは、景気づけに金の字を冠する慣習が誤解を生んだとする説や特殊な五行に基づくとする説など諸説紛紛だが、子づくり機運の上昇はまぎれもない。来年のオリンピック・ベビー誕生を前に、巨大な中国市場にベビーブームがやって来ると、関連業界は早くも沸き立っている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)