微細藻類からバイオディーゼル燃料の生産を手掛けるトランスアルジ(東京、西平隆社長)などは、県内で微細藻類の培養、燃料精製事業を始める。今月中にも金武町で培養施設の建設に着手し、来春をめどに製油工場の整備を計画している。施設は6万6千平方メートルの敷地に当初10トンタンクを2千個整備し、4千個まで拡大する構想。現地法人を設置し、将来的には沖縄をアジアへの販売拠点と位置付ける。
タンク2千個で年間4千~6千トンのバイオディーゼル燃料の生産を見込み、同燃料を利用する県内企業などに販売する。トランスアルジは現在、同様の培養施設を埼玉県熊谷市と三重県津市で稼働させ、燃料精製へ向けた研究を続けている。実際に生産し商業ベースで実用化できれば、搾りかすの飼料などへの活用も含め、タンク2千個で年間売上高5~6億円を想定している。
トランスアルジは今年4月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイの大手投資銀行マス・クリアサイトとバイオマスエネルギー開発を手掛ける合弁会社「マスタック」を設立した。今回の金武町内での事業には、初期投資として約7億8400万円を合弁会社が投資する。
日本国内の事業はトランスアルジが担う。同社は沖縄の高温多湿の気候が淡水藻類に最適であることなどに着目し、培養施設の設置を判断、整備拠点を模索してきた。
現在、普及している植物由来のバイオ燃料よりも低価格化による需要開拓を図るため、藻類の大量生産や藻そのものの製油能力向上が課題となっており、沖縄で製油モデルの確立を目指す。
来県したマス・クリアサイトのムバシル・アハメッド・シェイク最高経営責任者(CEO)や県内提携企業の関係者らが10日、培養施設の建設予定地を視察した。西平社長は「沖縄から次世代型の環境に配慮したバイオ燃料の普及を図りたい。アジアへの発信を目指したい」などと意気込みを見せた。(謝花史哲、外間崇)