久米島町は島内ほぼ全ての居住区域で利用できる公衆無線LANサービス「WiFi(ワイファイ)」を整備した。19日から住民や観光客向けICT(情報通信技術)サービスを提供する「全島ワイファイ事業」を開始。併せて2014年4月からは電気自動車(EV)の自動走行実証事業にも着手し、関連企業の誘致や観光振興などにつなげる。
ICTを活用する新たな取り組みで地域活性化を図る。ほぼ全島にまたがるワイファイ設置や島を実証現場にしたEVの自動走行事業は全国初という。
事業は日本電気(NEC)と自動車部品最大手のデンソーが協力する。ワイファイ機器を25カ所に設置し、提供地域は95%以上の世帯をカバーしているという。
ワイファイ整備に合わせ、インターネット上で島の農水産物を売買し配送する住民向け「地産地消システム」や「高齢者見守り」サービスとして住民自ら健康情報を登録し、町などが管理できるソフトウエアを開発した。
観光客向けアプリケーション「観光AR(拡張現実)」は画像にデジタル情報を付加するAR技術で観光情報を配信する。
災害対策として一斉メール配信システムや安否確認システムの導入も進める。
EVの自動走行実証事業は衛星利用測位システム(GPS)の精度を高める準天頂衛星を活用し、町内に設置した管制センターから制御する仕組み。第一段階は14年4~9月まで、同町奥武島の道路約2キロを使い実証する。衛星で車の位置を特定し、管制センターから最適な経路指示など制御する。3年計画で奥武島から橋を渡って実証現場を拡張するほか、EVの台数を1年目の2台から30台に増やし検証する予定。同町発の自動走行システムの構築を目指す。
12日県庁で発表した平良朝幸久米島町長は「住民へのサービス強化で地域活性化を図るとともに、観光需要の掘り起こしにつなげたい。新たな産業に伴う交流人口や消費の増加で経済波及効果や雇用創出が期待できる」と意義を強調した。