養護施設の高校生ら、授業料免除で沖大に5人合格


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 児童養護施設や里親宅で暮らす社会的養護が必要な高校生を対象に沖縄大学(加藤彰彦学長)が開設した奨学生制度で、5人の合格者が16日までに決まった。制度は来年4月以降の入学者が対象で、5人は制度創設後の第1号となる。

4年間の授業料(年間72万円)を全額免除する制度は全国でも珍しい。県里親会(比嘉朝文会長)や県内の児童養護施設によると、社会的養護が必要な生徒の大学進学率は低く、進学しても学費が支払えず中退する人も多い。
 県里親会や同施設は「大学でさまざまなことに挑戦し、将来への可能性を広げてほしい」と期待を込めた。
 合格したのは、里親の元で暮らす生徒が3人、児童養護施設の生徒が2人で、いずれも女子生徒。福祉文化学科に3人、こども文化学科に2人が進学する。
 児童養護施設「島添の丘」で生活する合格者の女子生徒は「1年生のころから大学進学を考えていたが、授業料を支払えるか不安があった。合格が決まってうれしい」と声を弾ませ「充実した4年間を過ごし、将来は精神保健福祉士になりたい」と夢を語った。
 玉城孝施設長は「奨学生制度があれば、明るい未来が描ける。他の大学にも広がってほしい」と願った。県里親会の比嘉会長は「子どもたちの努力が報われる。制度があれば将来への道が開ける」と話した。
 奨学生制度は、一定の学業成績があり、里親会や施設長の推薦を受けた新規卒業の高校生が応募資格者。5人は11月に願書を提出し、推薦入試の選考を経て合格した。沖縄大入試広報室の大城貴之さんは「制度ができた後、高校生や里親、養護施設の職員から問い合わせが相次いでいる」と話し、反響が大きいことを強調した。(高江洲洋子)