タクシー燃料の主原料であるブタンの国際価格が急騰し、12月価格が前月比33・9%増となり史上最高値を記録、来年1月もさらに値上がる見通しでタクシー業界を圧迫している。タクシー燃料のLPガスは沖縄本島で1リットルあたり平均94円で4年前の安値水準時の約2倍近く高騰。来年1月はさらに10円増の104円となる見通し。
業界団体は「経験したことのない事態。このままだと経営が破綻する」と危機感を強め、年内に県や国に燃料費助成などを要請する。状況次第では運賃値上げも視野に入れる。
事態を受けて県ハイヤー・タクシー協会と全国個人タクシー協会沖縄支部は19日、那覇市で燃料費高騰経営危機タクシー事業者総決起大会を開いた。(1)政府に対する石油ガス税の緊急免除措置(2)県に対するLPガス高騰への緊急助成策・救援措置-の要請を決議した。大会決議は「非常事態を打破し、今後もハイヤー・タクシーが公共交通機関としての使命を達成できるよう、法人、個人業界団体全会員は政府と県に強く求める」とした。
タクシー協会の湖城秀實会長は取材に対し「いきなり2割も値上がりした。今後下がるのか未知数だ。今まで自助努力でやってきたが、もう利益どころの話ではない。正直経営できないところまできている。このままだと、燃料代も払えないところが出てくる」と窮状を訴えた。
東江一成副会長も「従業員の給与を下げるわけにはいかない。コストの枠内で下げるのはもうやり尽くした」と話した。平良俊明八重山支部長は「本島でも高いが、離島は輸送代などでさらに負担がかさむ。これ以上はもう無理だ」と訴えた。
協会幹部によると、タクシー業界は原価率が高い。経費の中でも燃料費の占める割合は大きく、中でも沖縄は全国と比べて約1・5倍と高い。営業収入に占める燃料費の割合は4年前の12%台から今年12月は17・0%、来年1月は21・0%に上ると予想される。
ハイヤー・タクシー協会の会員は4月時点で、沖縄本島と離島を合わせて140社(3469台)。個人タクシーは11月末時点で1311台。