ごみ焼却熱で発電を トマス技術研究所、製品化へ試作着々


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移転したうるま市でチリメーサーや給湯装置、発電の仕組みなどを紹介する福富健仁社長(右)=うるま市

 無煙でダイオキシン排出が極めて少ない小型焼却炉「チリメーサー」製造のトマス技術研究所(うるま市、福富健仁社長)は、チリメーサーの廃熱を利用した蒸気発電装置の開発やチリメーサーの県外展開に力を入れている。焼却炉の廃熱を利用した給湯設備の製品化にめどが付き、県外の中山間地域や病院、老人センターなどの需要を掘り起こす。蒸気発電装置は2016年度までに製品化を図り、発売から3年後の売上高1億円を目指す。

 トマス技研は発電装置の開発に向け、西原町からうるま市に移転。金型製造や金属加工などを手掛けるものづくりネットワーク沖縄(同市)などと、小型で発電効率が高い蒸気タービンの技術開発に取り組み、24日までに試作品を製作した。13度内にチリメーサーによる発電に着手し、14年度は電気系統を研究する計画だ。
 昨年7月には東京営業所を開設、県外での販促活動を本格的に始め、チリメーサー2台を販売した。現在は長野県の企業など2件の契約を進めているという。
 給湯設備は1日当たり150~200人分の湯量提供能力がある。チリメーサーは医療廃棄物も焼却できるとして医療機関や福祉施設などの需要を取り込む。
 そのほか、県外の中山間地に注目。木くずなどが多く排出されるほか、人口規模が縮小傾向にある中、地域内で木くずや生活ごみが処理できる上、給湯や発電が可能になる装置の需要を見込む。加えて、ビニールハウス内の温度管理に廃熱を利用した温風設備として、冬季の農業への活用を提案する。現在、長野県の企業と連携し循環型農業のビジネスモデルの確立を目指している。
 福富社長は「発電技術が開発できれば、ハウスや植物工場などで気温調整だけでなく電照も可能になる。農村や離島、中山間地を支える商品。大手ができない事業を手掛けたい」と意気込みを語った。(謝花史哲)