海洋資源を活用した医薬品素材開発のオーピーバイオファクトリー(うるま市、金本昭彦社長)は、鹿児島県・奄美群島の加計呂麻島周辺の海底砂中から採取した微生物から、抗真菌効果を示す新たな化合物を発見、「カケロマイシン」と名付けた。
カンジダ症の病原体に強い抗菌活性がある。特許申請中。同社は現在、国内外の製薬や化粧品メーカーからの受託研究が主だが、今後は自社での生理活性物質探索や製品原材料の提供を強化していく。
創業以来の海洋資源サンプル収集業務は、特殊調査技術を活用して沖縄だけでなく日本全国の沿岸域から収集し、沖縄でのライブラリー機能強化も目指す。既に北海道沿岸域からの採取も始めている。
同社によると、カケロマイシンは市販薬の抗真菌剤より強い抗菌活性があり、市販薬の抗真菌剤とは違う新たな作用で抗菌している可能性が高いという。9月に国際学会で報告し反響があった。
金本社長は「カケロマイシンは新規の母核(基となる化学構造)で、陸上資源からはなかなか新しい母核が出てこない中で大きな成果だ」と海洋生物から得られた成果を強調した。
医薬品の基となる物質の自社探索は現在、専門チーム約30人が当たっている。今後は数チームを編成して探索も強化したい考え。
同社は26日、沖縄振興開発金融公庫と民間投資ファンドから合計1億1千万円の出資を受け、新たな成分の発見や分析機器の購入に充てる。出資の半分は資本準備金とし、資本金は1億6110万円に増資する。
これまで海洋資源から抽出し、成分や効能を分析した「生物資源ライブラリー」(1万5千~2万個)を、今後2年後にはさらに細かく分類して高度化した「分画物ライブラリー」(30万分画)「化合物ライブラリー」(3千~1万)に強化・充実させる。
他社からの物質解析を強化するため、全国の優秀な研究者の獲得にも努める。
同社は2006年2月設立。19年3月期には13年3月期の少なくとも3・5倍の6億円の売り上げを見込む。