沖縄ボクシング界の一つの歴史に来春、幕が下りる。16年間多くの全国王者やプロボクサーを輩出してきた沖尚ボクシング部が、2013年度で廃部となる。
現在の部員は當真和輝、与那覇大気、望月嘉人ら3年生の3人だけ。22日に沖縄水産高で行われた県高校選手権大会の望月の出場を最後に、同校ボクシング部は事実上活動を停止した。
静岡出身の望月は、ボクシングを極めるために沖尚へ入学。最後の大会は見事ライト級決勝でTKO勝ちし、有終の美を飾った。「最後の部員としてきっちり優勝できてうれしい。3年間、いろんなことを学べた」と感慨深げに振り返る。
一時は1年生がいた時期もあったが、学業との両立が難しく退部した。練習拠点だった金城眞吉監督の経営するウィンナージムも閉鎖となする。金城監督が「引き際なんだろうなと感じた」とつぶやくと、顧問の屋良朝敏氏もさみしげな表情を浮かべた。
しかし部員たちは「卒業しても競技は続ける」と声をそろえる。全国各地の卒業生たちもまた、選手や指導者としてボクシングに情熱を注ぐ。一つの歴史は終わりを告げるが、沖尚ボクシング部の“誇り”は、時代を超えて生き続ける。(仲本文子)