枯れ葉剤、30ガロンドラム缶使用 60年代、読谷米軍施設


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 【米ワシントン=島袋良太本紙特派員】読谷村にあった米軍用犬訓練場で少なくとも1968~69年に、猛毒ダイオキシン類を高濃度で含む枯れ葉剤が散布されたと証言した退役軍人のドン・シュナイダー氏(69)=米フロリダ州=は、枯れ葉剤は日常的に55ガロン(約210リットル)のドラム缶から30ガロン(約114リットル)のドラム缶に移し替えられ、各基地に運搬されていたことを明らかにした。2日までに琉球新報の取材で証言した。

昨年6月には沖縄市の米軍基地跡地のサッカー場で30ガロンのドラム缶が発見され、高濃度のダイオキシン類が検出された。米国防総省は枯れ葉剤が55ガロンのドラム缶に入っていたことを根拠に、枯れ葉剤の可能性を否定していたが、証言はこの前提を覆す内容だ。
 シュナイダー氏によると軍用犬訓練場に散布された枯れ葉剤は通常「エージェント・オレンジ」と呼ばれる種類の枯れ葉剤を示すオレンジのしま模様が真ん中に入った55ガロンの容量のドラム缶に入っていた。
 ドラム缶は同じ読谷村のトリイ・ステーションで保管されていた。枯れ葉剤は日常的に同基地北側フェンス近くの物資貯蔵所で55ガロンのドラム缶から30ガロンのドラム缶に管を使って移し替えられていた。30ガロンのドラム缶はトラックの荷台に載せられ、軍用犬訓練場に運ばれていたという。シュナイダー氏は昼食を取るためにトリイ・ステーションと軍用犬訓練場を行き来したため、移し替えの様子や30ガロンのドラム缶を載せたトラックの往来を目撃していた。
 枯れ葉剤が充填(じゅうてん)された30ガロンのドラム缶は軍用犬訓練場で保管され、使用時にはさらに噴霧器に移し替えて散布したという。シュナイダー氏は「末端の作業で小回りが利くように、小さな容器に移し替えていたのだろう」と話した。沖縄市で発見されたドラム缶について「30ガロンを理由に中身が枯れ葉剤じゃないとは言えない」と指摘した。
 米国防総省は沖縄市で発見されたドラム缶について「オレンジ剤は全て、55ガロン容量のドラム缶に入れて運搬された。オレンジ剤が入っていた可能性は考えにくい」と説明している。沖縄市で発見されたドラム缶は計33本。うち3本にはベトナム戦争時に枯れ葉剤を製造した「ダウ・ケミカル」の社印も記されていた。