県は2021年度の入域観光客数1千万人の達成に向け、ロードマップ(行程表)の作成に初めて着手することが3日までに分かった。これまで年度ごとの誘客行動計画はあったが、より戦略的な中長期計画と位置付ける。1年ごとの目標数値を定め、受け入れ態勢の構築や誘客戦略、インフラ整備などを策定する。そのほか、東南アジアなど新規市場の開拓を打ち出し、外国客数の目標を上方修正するなど沖縄観光の新たなステージを描く。
世界水準を目指す沖縄観光の試金石となる。
13年度の県内観光客数は630万人と設定した目標を初めて達成し過去最高となる見込みだ。13年3月から7カ月連続で単月の過去最高を更新するなど過去にない好調が続き、外国客も同1~11月で51万人を超えた。
那覇空港の第2滑走路の増設事業は1月着工が予定されており、1千万人の誘客を見据えた中長期的な計画が必要と判断した。県の他部局や市町村、関係団体などとの連携強化が不可欠とし、総合的なサービスやインフラの充実を図り、実現性を高める狙いがある。
県は12年に今後10年間の沖縄観光の基本方針となる県観光振興基本計画を策定。21年度までに観光収入1兆円、入域観光客数1千万人(うち外国人200万人)など、初めて具体的な目標数値も盛り込んだ。
県文化観光スポーツ部は、ロードマップ作成へ13年度内に全4課から職員を集め作業班を立ち上げて準備を進め、14年4月から本格的な作業に着手する。
ロードマップは東南アジアなど新規市場開拓を盛り込むなど基本計画で定めた外国客数の見直しや国別の誘客人数を検討する。沖縄本島と離島それぞれの最大受け入れ人数を調査し、インフラ整備なども強化する方針だ。国や経済団体、専門家などを交えた委員会を課題ごとに設置するほか、県観光推進本部でも議論し、ロードマップの内容を練り上げることを想定している。
同部の湧川盛順部長は、那覇空港の新国際線旅客ターミナルビルが2月に稼働する点などを挙げ「誘客に一番課題だったハードがそろう。1千万人に向けての観光政策や点検を練り直す必要がある。次年度に他部局にも働き掛けて細かい戦略や数字を打ち立てていく」とロードマップの狙いや意義を説明した。(呉俐君、謝花史哲)