第66回全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)は5日、東京体育館で開幕し、男女の1回戦を行った。男子は西原(4年連続19度目)が広島工大高(6年ぶり4度目)にフルセットの末に競り勝ち、2回戦へ駒を進めた。
東福岡が安来(島根)に、創造学園(長野)は深谷(埼玉)に、初出場の荏田(神奈川)は一関修紅(岩手)にいずれもストレート勝ちした。女子は初出場の首里が新潟代表の長岡商(2年連続4度目)に0―2で敗れ、初戦敗退した。大和南(神奈川)が郡山女大付(福島)に2―1、北九州(福岡)は津商(三重)に2―0で勝って2回戦へ進んだ。八王子実践(東京)や九州文化学園(長崎)なども勝ち上がった。男子西原の2回戦は6日、同会場で香川代表の高松工芸(10年連続17度目)と対戦する。
▽男子1回戦
西原
2―1(25―16,24―26,25―23)
広島工大高
【評】出だしから西原が仲本賢優、矢貫龍馬ら高さのあるスパイカーが調子よく得点を重ね、25―16と大差をつけて第1セットを奪った。その後一転して攻撃が単調になり、第2セットを落とした。最終セットの終盤までシーソーゲームは続いたが、仲本の連続得点と矢貫の速攻で何とか勝利した。広島工大高は展開の速い攻撃で西原を苦しめたが、最後にミスが出た。(仲本文子)
◆仲本、矢貫 “聖地”で存在感
最終セットまでもつれ込んだ男子1回戦。「ここで負けるわけにはいかない」―。大一番で存在感を見せたのは1年生エース仲本賢優と、センター矢貫龍馬の2人だった。
19―19と同点の場面。仲本が左から2枚ブロックのわずかな隙間をこじ開け、強烈なスパイクを相手コートにたたき込む。続けて左に上がったトスを矢貫が打つように見せ掛けて、再度仲本が決める。
これで21―19。そこから西原は、2点のリードを保ったまま最後に仲本が中央から思い切りスパイクを放ち、試合を終わらせた。
何とか初戦突破を果たし、昨年に並んだ西原。矢貫は「スピードの速いコンビネーションについていけなかった」と反省を口にした。
同大会が集大成の矢貫は「自分が決めたい気持ちもあるけど、賢優だったら決めてくれる」と、1年生エースに信頼を寄せる。仲本は「トスが来たら絶対に決める」と、先輩の期待は裏切らない。
次戦の相手は速さに定評のある高松工芸だ。「自分たちの形で勝ちたい」と意気込む矢貫。仲本は「ブロックを仕掛ける展開に持ち込みたい」と闘志を燃やす。春の聖地で、再び2人のエースが躍動する。(仲本文子)
▽女子1回戦
長岡商(新潟)
2―0(25―18,25―11)
首里
【評】第1セット序盤はエース川満理子のスパイクが決まるなど順調な出だしだった首里。しかし途中から相手に翻弄(ほんろう)され、ミスも重なって逆転され、7点差でこのセットを落とした。第2セットも川満や大田青和主将を中心としたレフト攻撃を展開するも相手に読まれた。長岡商はセッターのトスさばきが優れていた。(仲本文子)
◆序盤にミス 流れ戻せず
大舞台のオレンジコートで長岡商(新潟)を相手に本来の力を出し切れず、0―2で涙をのんだ女子首里。最後まで3人の3年生がボールに食らいつくなどして意地を見せたが、「序盤のレシーブミスなどで崩れた流れを引き戻せなかった」(城間亮監督)。
第1セット、長岡商のサーブミスで先制。エース川満理子の高い打点からのサーブで相手のミスを誘い6―3まで点差を広げた。
だが、そこからレシーブミスなどで連続3失点。ボールをつないでも連係がうまくいかず、逆に相手レフトからのスパイクなどを決められて点差を広げられ、そのまま流れを引き戻せないまま敗れた。
川満は序盤から積極的にスパイクを打つが、トスとタイミングが合わずに苦しんだ。だが、第1セット中盤は助走をつけながら鋭いスパイクを打ち込んだ。第2セットはライトに走り込んで長岡商のブロックを惑わせ、強烈なスパイクをたたき込んだ。「最初からああいうプレーができなかったことが悔しい」と目を真っ赤に腫らした。
国士舘大に進学し、バレー指導者を目指すという川満は「首里高らしく頭脳を使ったバレーで、この大会で勝ってほしい」と話し、「最低2勝、最高ベスト8」という首里女子の目標達成を後輩に託した。(松堂秀樹)