県内の万引、20%が高齢者 13年1~11月


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2013年の県内65歳以上の高齢者による万引の年間摘発件数は11月末現在で204件に上ったことが6日までに分かった。万引で摘発された総件数の20・1%が高齢者だったことも判明。

高齢者による万引は、総菜やパンなどの食料品を盗む傾向が強く、1品当たりの単価が低いことが特徴だ。
 全国では12年の1年間に万引で逮捕・書類送検されるなどした高齢者は2万8673人で過去最多だった。警察庁は、経済的な理由だけではなく、高齢者が地域で孤立し、生きがいを感じられていないことが背景にあるとみて、地域住民や高齢者同士が触れ合う機会をつくるなどの対策を促進している。研究者は万引で摘発される高齢者は認知症を患っていたり、身寄りのない独り暮らしであったりするケースが多いことを指摘している。
 一方、県内では万引をする高齢者について「実像がまだつかめていない」(県警幹部)という。浦添市内のスーパーの店長は、万引をした高齢者に盗んだ理由を聞いたところ「節約しようと思って盗んだ」という人が多かったと説明。「お金について相談できるところが分からない高齢者が多いのではないか」と指摘した。
 万引で摘発された高齢者の更生に取り組んでいる那覇保護区保護司会の徳元茂信事務局長は、万引をした高齢者はその行為が悪いと自覚している人が多いと話す。「対策は手探りの状況だ。彼らの立場に立って一緒に考えていく機関や相談に乗る人を増やしていくことが必要だ」と強調した。
 万引を摘発する警察官は「親の年齢よりも上の人を万引で取り調べるのはやりきれない気持ちになる」と複雑な心境を吐露した。(佐々木健)