「例年新成人が暴れる」ことを理由に開けなくなった母校での成人式を実現しようと、那覇市の那覇中学校区の新成人たちが立ち上がった。新成人の実行委員は同級生に呼び掛け、月2回の清掃活動や幼稚園へのボランティア活動などに取り組み、地域住民や学校から理解を得て、12日、母校・那覇中体育館での式典・祝賀会開催にこぎ着けた。
新成人代表の下地紗央さん(20)=沖縄国際大2年=は「いい伝統をつなぐ成人式にしたい」と意気込む。
昨年の那覇中での成人式では、新成人らが正門付近でメリケン粉をまくなどの騒ぎがあった。これまで、同校区の新成人が国際通り周辺に繰り出して騒ぎ、その姿が全国へ報道されることもあった。このため学校は昨年の式の後、体育館を貸さないことを決めた。
下地さんら実行委員はどうしたら地域や学校の理解を得られるかを考え、昨年9月13日から毎月2回、学校周辺の清掃を始めた。清掃中や、その後の話し合いの場で中学校時代にはあまり話したことがなかった同級生同士とも親しくなり、新成人の結束は強まった。
そして11月、下地さんや保護者代表が学校へ体育館使用を願い出た。何年も迷惑行為が続いたため学校施設は貸せないと考えていた那覇中の安次富功校長は、新成人の活動を評価し、考えを変えた。「これまでと違う。地域に還元できるいい成人式を期待したい」と話し、使用を許可した。
新成人はその後も清掃活動を続けた。1月9日に学校内で行われた最後の会議には、新成人に加え、地域で毎年成人式に関わってきた先輩らも参加し、式典の運用方法などを新成人に細かくアドバイスした。
例年の問題行動は後輩が学校周辺で待機して参加することから、後輩向けのチラシも作成した。チラシには地域に感謝し、いい成人式の継続を願う言葉がつづられ、いい伝統を継続したい思いが込められた。(関戸塩)